日本の社長サイト掲載
nobukitaoka.com|建築写真家田岡信樹
一般社団法人 日本建築プロデュース協会
代表理事 田岡 信樹
「建築ユーザー獲得エンジニア」が業界を変える牽引者となる
工務店や建築会社などで家づくりに携わる人たちに、セールスプロモーションやマーケティングといった建築プロデュースのノウハウを提供する新境地を開拓。建築業界に特化したプロモーション全般を行う「建築ユーザー獲得エンジニア」という資格を創り出し、業界に新風を吹き込んでいるのが日本建築プロデュース協会の田岡代表である。かつて「建築家で建てる家」という独自のプロデュースで注目を集め、建築写真家としてもオンリーワンのポジションを築いた同代表が仕掛ける次なるイノベーションの形とはどのようなものか。建築業界で注目を集める新たな資格講座について話を聞いた。
― 事業内容を教えてください。
住宅会社や建築設計事務所など、建築業界に携わる方々が自らの力で仕事を受注できるようになるためのブランディングからプロモーション、プロデュースを教える講座を開講しています。
講座の受講によって、営業力や交渉力、顧客とのコミュニケーション術など、集客に繋がるセルフプロデュースのノウハウを身につけることが可能です。
こうしたスキルの修得を建築に特化して講座にした機関は他になく、カリキュラムを学んだ方は業界の中でも特別なスキルをもつプロフェッショナルとして力を発揮できることになります。その証となる資格として、「住宅建築プロデューサー」と「建築ユーザー獲得エンジニア」の2つを付与しています。
講座は2014年の夏にスタートし、2018年には、既に建築プロデューサーが400名、建築ユーザー獲得エンジニアが100名誕生しました。今後も、受講者は増えていく見込みです。
― 2つの資格はそれぞれどのような内容ですか。
「住宅建築プロデューサー」は全2科目のカリキュラムから成る資格講座で、プロデュースを知ることで、住宅建築業界の動向や今後のマーケティング活動の基礎を充実させることができます。経営者視点で「ヒト・モノ・カネ」と「情報」の有効な配分を考えて建築プロジェクトを進めていく役割であり、自身の営業力の強化につながる資格といえます。
また「建築ユーザー獲得エンジニア」は、住宅建築プロデューサーを含む上位の資格です。知識と技術、実践とで構成された7科目のカリキュラムを学ぶことで、住宅建築に関するセルフプロデュース力をフルサイズで身に付ける総合的なスキルをもつ人物になることができます。
建築ユーザー獲得エンジニア資格者は住宅会社や建築設計事務所のほか、各建築関連会社にとって必要な建築プロデュース、ブランディングからプロモーションのほか、建築写真の活用方法やWEB・SNSマーケティングなどのスキルを持ちあわせた住宅建築業界初の職業ということになります。
― なぜこのような講座を開講しようと考えたのでしょうか。
住宅建築業界においても、これからの時代に勝ち残っていくにはプロデューサー視点を持つことが不可欠だからです。「建築物が良ければお客様は集まってくる」「技術やデザインが良ければ家は売れる」というだけでは残念ながら今後は通用しません。自社のサービスや技術が競合他社と比べていかにメリットがあるのか、それを明確にし、企画力を使って広く伝えていく「プロデューサー視点」が必要なのです。
その視点を活かして自社の魅力を最大限に打ち出すことで、集客を最大化する企業戦略を立てることができる。そのノウハウを教えていくのが、当協会の2つの資格です。
― 田岡代表がそうした思いに至った経緯を教えてください。
それは私自身がたどったプロセスと深く関連しています。大学で建築の勉強をし、建築士に憧れたもののならなかった私は、建築デザイナーとして家づくりを手掛けたいと考えました。自分のデザインによる志し、当時いた工務店で「工務店によるデザイナーズ住宅」という切り口を強く打ち出し、開拓していったのです。
建築士ではなく、デザイナーがデザインして建てる家。その奇抜さと大胆さが業界でも注目を集め始めました。そこで、デザイン性をアピールするためにCGを使って立体パースを作ってプレゼンテーションを行い、一方でホームページ(HP)を立ち上げて、建物をビジュアルで表現する手法でプロモーションを行っていったのです。
当時は建築物をWEBサイトで見せて広めるということは誰もやっていない時代ですが、次第に一般ユーザーからも注目を集めるようになりました。そして、さらに質の良いWEBサイトを作るためには建築作品の写真の質を上げていくことが必要だと感じるようになりました。
プロのカメラマンに撮影を依頼したのですが、写真の出来がどうしても腑に落ちなかったんですね。そこで気づいたのは、建築のことを知る人間が写真を撮らなければ、納得のいくものにはならないということ。であれば、建築を知っている自分が写真を撮ったほうが良いものになるのではないか。そう考えて、自ら建築に特化したカメラマンとして勉強していくことにしたのです。
― WEBによるプロモーションの効果は上がりましたか。
写真のクオリティが上がってWEBサイトの価値が高まったことと合わせ、決定的だったのは、リスティング広告をスタートさせたことです。当時はまだ業界でWebマーケティングを取り入れているところはほとんどなく、効果は抜群でした。デザイナーズ住宅の問い合わせは一気に3倍に膨らみ、最終的には資料請求は10倍にまで膨らんでいきました。
こうして、工務店プロデュースの実践による集客効果を自ら経験し、その必要性を強く感じるようになったのです。
これまで住宅建築業界では、プロデュースによって伸びる要素を多分にもっているのに、ほとんど実践されてきませんでした。飲食や物販業などではプロモーション活動を積極的に活用してビジネスに繋げているのに、住宅建築業界ではそれがなかったのです。
しかし私自身が成功したように、セルフプロデュースのノウハウを備えることで、集客面での確かな実績につなげることが可能です。それを広めるために自身の経験をノウハウ化し、協会を立ち上げて2つの講座をスタートさせたのです。
― 2つの講座の主な内容を教えてください。
「住宅建築プロデューサー」「建築ユーザー獲得エンジニア」ともに、カリキュラムの中身は住宅建築業界の方からすればあまり馴染みのない、または知らない事柄ばかりだと思います。
たとえば住宅建築プロデューサー資格のほうでは、「集客プロモーション企画概論」や「住教育(住育)概論」。また建築ユーザー獲得エンジニア資格は、「ビジネスIT知識」や「Web・SNS知識」「基本ブランディング概論」や「Web企画制作」などの知識と実践双方のカリキュラムを揃えています。いずれも住宅建築業界の方が家を建てる仕事とは直接関わりのない事柄ばかりですが、だからこそこれからの住宅建築業界にとっては必要なものと考えています。
近年、アメリカで※グロースハッカーという新たな概念のマーケティング手法や職業が誕生しています。これからの時代、必ず重宝されるグロースハッカー的人材は日本の住宅建築業界にとっても必要不可欠な人的資源になりえます。ご存知ではない方、一度、「グロースハッカーとは」で検索してみてください。
家づくりや建築だけを知っていても、建築会社は経営できません。またお客様のニーズに沿ったプロモーションを行い、集客に結びつけることも叶わないでしょう。建築業界分野を超越したノウハウを身に着けることで、建築がビジネスとして成功できることを知ってほしいと思います。
私はこの講座を通じて、建築業界に関するセルフプロデュースを身に付けてもらうために、ノウハウを出し惜しみすることなく提供していきたいと考えています。講座内容については常に最新のプロモーション手法を取り入れ、最高の学びを提供することにこだわっていきたいですね。それがサスティナブル建築社会への早道であるとも言えます。
※グロースハッカー:製品やサービスの成長に焦点を当て、製品のマーケティングや全社的な戦略の課題をクリエイティブに解決する人物
― セルフプロデュースによって建築業界はどのように変わりますか。
私は大手のハウスメーカーにも地域の工務店にもいたので分かりますが、良い住宅を作るには、地域の特性をどれだけ知っているかが非常に重要なんです。
その要件を満たし、地域の人たちが満足できる住宅建築のノウハウを持っているのは、地元の建築会社なんですよ。だから住宅業界の中心は、ハウスメーカーよりも地域の工務店や建築設計士であるべきだと私は思っています。現に注文住宅のシェアは大手ハウスメーカーは2割そこそこ8割は地元の工務店なのです。
工務店や建築設計士が地域でのシェアを向上、維持していくためには、工務店の人たちがセルフプロデュースを実践して、地域の皆さんに「自分たちの良さ」を分かってもらうことが一番です。そのためにも、ぜひセルフプロデュースという領域に目を向けて欲しいと思いますね。
― 今後のビジョンを教えてください。
建築以外の分野を学び、それで人に伝えることは決してハードルの高いものではありません。自分でWEBサイトなどのメディアをもって宣伝する、それによって自分の住宅や建築作品のファンができていく喜びを多くの人に知って欲しいと思っています。
そして、住宅建築プロデューサーや建築ユーザー獲得エンジニアとなった人たちが築き上げていく住宅建築のニーズというものを寄せ集めて、今までの業界になかった全く新しいニーズを創り出したいですね。
それができるのは、決して大手のハウスメーカーではないんです。地域の人たちの思いや願いを知っている地元の工務店や建築士、建築に携わる皆さんだからこそ、5年後、10年後に向けた新たな住宅ニーズを生み出していけるはず。住宅建築プロデューサーや建築ユーザー獲得エンジニアの皆さんに、ぜひその牽引力になってほしいと思います。
■ 田岡 信樹(たおか のぶき)
1971年、愛知県生まれ。芝浦工業大学工学部建築工学科卒業。大手ハウスメーカーを経て、工務店勤務時代に建築プロデューサーとして「工務店によるデザイナーズ住宅」の草分け的存在として業界から注目を集め、「建築家で建てる家」の先駆けとなる。同時に建築写真への造詣を深め、自ら写真家としてスキルを磨き、日本を代表する建築写真家として今現在も活躍中。2013年に建築プロデュース概念の確立と普及促進支援を目指して一般社団法人日本建築プロデュース協会を設立、代表理事に就任。講座の開講を通じて住宅建築プロデューサーの養成に力を注いでいる。